北神急行電鉄北神線の市営化が来週(2020/06/01)に迫ってきた今頃になって、周りへの影響、特に神戸電鉄線への影響を考える。
<2020/06/02追記>
なお、以下の記事が北神線市営化の経緯など詳しいのでお勧め。ものすごく分かりやすかった。
<追記終>
三宮駅からの料金
神戸電鉄 新開地乗換え | 北神急行 谷上乗換え (市営化前) | 地下鉄北神線 谷上乗換え (市営化後) | バス | |
三宮→鈴蘭台 | \500 | \900 | \630 | |
三宮→北鈴蘭台 | \550 | \850 | \580 | |
三宮→山の街 | \570 | \790 | \520 | |
三宮→箕谷 | \570 | \730 | \460 | \450 |
三宮→谷上 | \610 | \550 | \280 | \530 |
三宮→花山 | \650 | \730 | \460 | \610 |
三宮→岡場 | \750 | \950 | \680 |
三宮~谷上、花山のバスは本数小。
市営化前は、谷上以外は新開地経由がどこでも安い。それだけ北神急行が高い。
市営化後は、山の街以北は地下鉄北神線経由の方が安い。岡場ですら70円安い。
神戸駅からの料金
神戸電鉄 新開地乗換え | 阪急三宮& 北神急行 谷上乗換え (市営化前) | 阪急三宮& 地下鉄北神線 谷上乗換え (市営化後) | バス | |
神戸→鈴蘭台 | \480 | \1030 | \860 | \450 |
神戸→北鈴蘭台 | \530 | \980 | \710 | |
神戸→山の街 | \550 | \920 | \650 | |
神戸→箕谷 | \550 | \860 | \590 | |
神戸→谷上 | \590 | \680 | \410 | \540 |
神戸→花山 | \630 | \860 | \590 | \610 |
神戸→岡場 | \730 | \1080 | \810 |
神戸→三宮は阪急に乗車(\130)と設定
神戸~谷上、花山のバスは本数小。
市営化前も後も、新開地経由の方が安い。
これは、新開地経由は2社乗換え(神戸高速鉄道、神戸電鉄)なのに対し、三宮経由が3社乗換え(神戸高速鉄道、神戸市営地下鉄、神戸電鉄)になるため高くなる。例外的に谷上、花山は地下鉄北神線経由の方が安くなる。
(ただし、神戸駅に隣接した地下鉄海岸線ハーバーランド駅から三宮・花時計前駅まで乗り、地下鉄西神・山手線の三宮駅まで徒歩乗換えをすれば、2社乗換えになる。)
(同じように、元町駅からでも、地下鉄海岸線の旧居留地・大丸前駅から海岸線に乗るか、そもそも三宮駅まで歩いてしまえば、3社乗換ではなくなる。)
市営化後を各駅ごとに見る
鈴蘭台・北鈴蘭台
新開地廻りが安くて便利なので、市営化後も新開地廻りの旅客流動で変わらない。
駅に集客するバス路線
鈴蘭台駅から阪急バス(鈴蘭台東町、鈴蘭台北町)、神鉄バス(中里町、君影町)。
北鈴蘭台駅から阪急バス(惣山町、若葉台)(甲栄台、泉台、杉尾台、松宮台)
山の街
市営化後は谷上廻りが安くなる。
市営化前は新開地廻りが主流だったが、市営化後は三宮以東へは谷上廻りに移行する。元町、神戸以西へは新開地廻りが残るか。
ラッシュ時の谷上での乗換えがホーム違いで不便なのが傷。
神戸電鉄としての収支は、山の街~湊川\420 → 山の街~谷上\240。
駅に集客するバス路線
鈴蘭台駅行きと谷上駅行きがあるが、貧困。
箕谷
市営化後は谷上廻りが安くなる。
ただし、市営化前も後も市バスが安くて頻発なため断然優位で鉄道を使う要素がない。
駅に集客しないバス路線
市バス64系統(大原、桂木、日の峰、松が枝町)、市バス111系統(衝原、山田町)
なお、箕谷インターにパーク&ライドの駐車場併設のスーパーマルハチがある。(というか、もともとパーク&ライドが目的の駐車場にマルハチが建った。)
谷上~田尾寺
市営化後は地下鉄経由が安くなるので、谷上以北の客はみんな谷上で地下鉄に乗り換えるようになる。
市営化前は通勤定期が会社から出る通勤客だけが谷上で乗り換えていたが、今後は三宮・大阪方面への全ての乗客が谷上で乗り換えるようになる。通勤客も通学客も普通券の客も。
なお、運賃計算上、新開地廻りのメリットがあるのは神戸高速線内だけなので、元町駅、神戸駅(高速神戸)だけについては新開地廻りが安くなるが、その先の板宿、長田は地下鉄経由の方が安い。それは愚か湊川でさえも地下鉄経由の方が安くなる。
駅に集客するバス路線
谷上駅:阪急バス(筑紫が丘、広陵町)は頻発。他は数本。市バス(6/1新設。62系統、111系統。朝は計3本だけ)、阪急バス/神姫バス三宮有馬線(朝はなし。昼もほとんどが三宮まで乗車)、阪急バス158系統(朝は数本)
花山駅~有馬口駅:阪急バス神姫バス三宮有馬線(同上)
五社駅:神姫バス(有野台)
岡場駅:神姫バス(北神ニュータウン、藤原台、有野台)
田尾寺駅:神姫バス(北神ニュータウン)
三田市内(横山~三田)
市営化前も後も神姫バスの特急バス三宮行きが安くて頻発なため最優位で、三田市内の各駅から三宮方面への利用客はあまり見込めない。
だって、家の近くのバス停から出るバスが直接、三宮まで入るんだよ。いくら地下鉄経由が少し安いからと言って、そっちに変わるのは駅近くの人だけ。
おまけに、対大阪への動線は、新三田駅あるいは三田駅までバスで出て、JR福知山線(JR宝塚線)が今までもこれからもメイン。わざわざ三宮まで出ては来ない。
結局、何が起こる?
新開地~谷上の需要が減る
市営化後の大きな影響は、谷上以北からの客のほとんどが谷上で乗り換えてしまうこと。よって、新開地~谷上の需要が減る。谷上より先に乗る客は、鈴蘭台近辺に用がある人だけ。
山の街駅はそんなに後背人口がいないので、営業上の影響は極小と考える。
中村交通局副局長:新開地回りから谷上回りに変更されるお客様は,1日当たり,およそ6,500人程度と予想。
予算特別委員会(第2分科会)記録 令和2年3月2日(月)
例えば北神地区の主要駅「岡場」だと……
新開地廻りだと神鉄の取り分は岡場→湊川で600円なのが、市営化後は岡場→谷上で400円になり、200円の減収。
ただし、前述したとおり、三宮・大阪方面に向かうのにわざわざ新開地廻りを選ぶ客のほとんどは交通費が自腹な客(学生と買物客)であり、(定期代が会社負担な)通勤客は市営化前でもほとんどが谷上で北神急行に乗り換えているので、みんなが言っているほどの営業損失にはならないはず。
むしろ、粟生線と有馬線が重複して今となっては供給過多となっている新開地~鈴蘭台間の需要が一段減るので、ここで一挙に供給過多を減らして稼働率を上げるいい機会になるかもしれない。
2020/03のダイヤ改正で、昼間の新開地~西鈴蘭台の折返し便の半分が鈴蘭台~西鈴蘭台に短縮されたのはその一歩かもしれない。
粟生線を全便急行(湊川~鈴蘭台間ノンストップ)にして、有馬線だけ各駅停車にしちゃうのも案だ。(その逆もあり)
現在、10~14時台の昼間は1時間に、
有馬線:三田~新開地が4本、
粟生線:準急三木~新開地が1本、準急粟生~新開地が1本、(さらに西鈴~鈴蘭台が2本)
だが、これをさらに削減する動きになるのかもしれない。
そもそも、新開地~鈴蘭台間の「途中駅」は神鉄が強いエリアではない。
湊川……新開地から徒歩圏内。
長田……市バスが優位(普通区210円均一区域)。頻発系統だけでも、3系統、11系統、4・40系統が神戸駅に向かう。
丸山……市バスが優位(普通区210円均一区域)。65・150・158系統、4・40系統が神戸駅に向かう。
鵯越……市バスが優位(普通区210円均一区域)。65・150・158系統が神戸駅に向かう。
鈴蘭台……三宮・神戸方面へのバス便は弱い。
北鈴蘭台、山の街……三宮・神戸方面へのバス便はない。
つまり、新開地から乗る客のほとんどは、鈴蘭台か北鈴蘭台か山の街で降りる。あるいは鈴蘭台から粟生線に向かい、西鈴蘭台まででほとんど降りる。という動きになる。
運行委託という営業補償が神鉄に降ってくる
市営化後は、地下鉄北神線の運行は神戸電鉄に委託される。その委託料が年間約9億円、神戸電鉄に入る。それで十分に営業補償になってペイされるのではないかと勝手に想像する。(そろばんを一切弾いていないので話半分で。)