「神戸市敬老優待乗車制度・福祉乗車制度のあり方検討に関する有識者会議 報告書 令和元年11月」が提出されたので、要約する。
結論
「速やかに制度見直し」は以下の3点。
・敬老優待乗車制度の敬老無料乗車券→廃止
・敬老優待乗車制度の(バス)近郊区上限110円小児料金の料金設定→上限なしの小児料金に変更
・福祉乗車制度の母子世帯→父子世帯を含めて、別の制度に衣替え
はじめに
・福祉乗車制度は昭和43年、敬老優待乗車制度は昭和48年に発足。
・現在、福祉乗車証は障害者、母子世帯、原爆被爆者、戦傷病者、中国残留邦人等支援給付世帯等で約7.5万人利用
・敬老優待乗車証は約24万人利用
・両制度は、「利用実績」と神戸市から交通事業者に対する「支払い」に大きな乖離があり、交通事業者に過度の負担(両制度あわせた補償率72.5% 平成30年度)
・今後も対象者の増加が見込まれていることから、神戸市の財政も考慮すると、現行のまま制度を継続していくことが難しい状況
・令和元年6月に兵庫県バス協会より「神戸市敬老優待乗車制度および福祉乗車制度の負担金にかかる緊急要望書」が提出された。
・神戸市による満額補填を前提 かつ 長期的に維持し得る制度設計がなければ当該制度への参画を見合わせざるを得ないという要望。
・この緊急要望書を受けて、有識者会議が設置された。
1 制度概要
(1)敬老優待乗車制度
敬老優待乗車証
○対象者:市内在住の満70歳以上の方
○利用者負担:鉄道=小児料金、バス=110円を上限とする小児料金
○対象交通機関:市営地下鉄、ポートライナー・六甲ライナー、神戸市バス、神戸交通振興バス(シティー・ループ線を除く)、神姫バス・神姫ゾーンバス、山陽バス、神鉄バス、阪神バス、阪急バス
(高速バスは対象外)
○交付形態:ICカード(平成20年10月より)
○制度発足:昭和48年9月
敬老無料乗車券
○対象者:市民税非課税世帯かつ本人の年収が120万円以下の方
○内容:対象交通機関を年間約3万円分利用できる敬老無料乗車券(有効期間1年間)を交付
○交付形態:磁気カード、紙券
○制度発足:平成20年10月
定期券割引購入制度
○内容:高頻度利用者に対して定期券を半額で購入可能
○交付形態:磁気カード、紙券
○制度発足:平成20年10月
(2)福祉乗車制度
○対象者:身体障害者(第1種または1級~4級)、知的障害者、精神障害者(以上※1)、母子世帯※2、原爆被爆者、戦傷病者、中国残留邦人等高齢者、中国残留邦人等世帯※2
※1:障害者手帳所持者に限る。また、身体障害者手帳(第1種)、療育手帳(知的障害者)、精神障害者保健福祉手帳(1級)の所持者は、介添人が同乗される場合に使用できる介護付乗車証を交付
※2 母子世帯、中国残留邦人等世帯については世帯に1枚交付
○利用者負担:無料
○対象交通機関:敬老優待乗車制度と同じ
○交付形態:ICカード(平成25年4月より)、磁気カード(小児用カードのみ)
○制度発足:昭和43年5月
4 対象者ごとの課題点・考え方、見直しの方向性 特に「見直しの方向性」
(1)対象交通機関(両制度共通)
・制度の持続可能性の問題があり、鉄道まで拡げるのは現実的ではない。
・従来の近距離輸送としてのバスが基本という考え方を維持すべき。
・神戸市内を走る路線バスはすべて対象にすべき。
(2)敬老優待乗車制度
①敬老優待乗車証
・当面は現在の敬老優待乗車証を維持すべき。
・対象年齢の引上げ、所得制限の導入、利用者負担割合を上げる、身体状況を勘案する等は中期的に検討。
②敬老無料乗車券
・廃止を含めて見直しを検討。
③定期券割引購入制度
・現時点では現行制度を維持。
・中期的には要検討。
④(バス)近郊区上限110円の料金設定
・近郊区上限110円の料金設定は廃止、小児料金にするなど見直しを検討。
・長距離移動まで対象とするかどうかは将来的に要検討。
(3)福祉乗車制度
①障害者
・現時点では現行制度を維持。
・所得制限や一部負担の導入等については、将来的な課題として要検討。
②母子世帯
・現行の福祉乗車制度では不公平の解消が難しい。
・父子世帯も含めた、別のひとり親施策(高校生の通学定期券の補助等)への方向転換も考えられる。
③原爆被爆者・戦傷病者・中国残留邦人等支援給付世帯
・現行制度を維持。
6 今後考えていくべきこと
○公平性の観点
・敬老優待乗車制度で、移動距離に応じた負担となっていないこと。
・母子世帯が対象だが父子世帯が非対象であること。
・地域間と対象交通機関の不公平があること。
○神戸市全体の予算配分
・両制度あわせて神戸市の予算が約50億円と大きな額。
・国庫補助はなく、純粋に一般納税者の負担。
・もっと若い世代にもお金を回していく必要がある。
・敬老優待乗車制度と福祉乗車制度では、福祉乗車制度の維持に力を入れるべき。
○負担のあり方
・敬老優待乗車制度で言えば、利用者(市民)、交通事業者、実施者(神戸市)の三者が痛み分けの必要がある。交通事業者にも社会貢献として一定の負担を求めるべきである。
○制度見直しの優先順位
速やかに制度見直し
・敬老優待乗車制度の敬老無料乗車券(廃止)
・敬老優待乗車制度の近郊区上限110円の料金設定(小児料金)
・福祉乗車制度の母子世帯(別の制度に衣替え)
パブリックコメントにはこう書いた
本案に全面的に賛成します。
特に「バス近郊区における110円上限を廃止」に賛成します。
敬老パス利用者に対しては、毎日著しい不公平感を感じております。
市バス64系統三宮~神戸北町線、市バス66系統三宮~しあわせの村線、神姫バスの三宮~恵比須快速線、神姫・阪急共同運行の三宮~有馬温泉線等、都心から北区・西区への長距離路線において、我々が通勤時に500円なり600円なりの運賃で乗車している際に、高齢者は110円しか支払っておりません。しかもその差額はバス会社が主に負担しているのが現実です。
一刻も早く、高齢者の適正負担であろう小児料金への変更を実施いただき、不公平是正の一歩としていただきたい。
もう既に、高齢者が高齢であるだけでこのような恩恵を受けられる社会ではありません。我々若年者はうんざりです。高齢者にも適正な負担をさせ、貯めこんだ金を社会に還元させる今回の施策に賛成いたします。
有識者会議では、普通区と近郊区で格差が生じていることに対する懸念も表明されていましたが、この格差は、普通区を廃止し、全線(全区間)を近郊区扱いにする(距離制料金を採用する)ことで全て解消されます。短距離利用であれば現在の210円よりも料金は下がります。高齢者に限らず全ての利用者が、利用に応じた適正な負担をする料金制度にすべきです。
母子世帯への制度変更についても、現行制度が父子世帯を無視している点で男女差別である点から賛成します。この不公正は是正すべきです。
パブコメの資料いわく……
現在の北神急行線について、敬老優待乗車証・福祉乗車証を使えるようにします。
北神急行線(新神戸~谷上)は、現在は敬老優待乗車証・福祉乗車証の対象外路線ですが、2020年6月(予定)に北神急行線が市営地下鉄化されることに伴い、敬老優待乗車証・福祉乗車証の対象区間とします。
# 図解されていた。新神戸~谷上も敬老パスは小児料金(半額)、福祉パスは無料の対象。
予定
2020年6月~:北神急行線の市営地下鉄化に伴い、対象路線を拡大(つまり新神戸~谷上も敬老優待乗車証/福祉乗車証の対象路線となる)
2020年10月~:敬老無料乗車券を廃止
2020年秋頃~:敬老優待乗車証のバス近郊区における110円上限設定を廃止(小児料金負担に改正)
2020年秋頃~:母子世帯の福祉乗車証の交付に替えて、ひとり親世帯の高校生に対する通学定期券の補助に制度転換
パブコメの取りまとめ 2020/02/05
600件近くの意見。反対の人がギャーギャーと騒いでいるけれど、賛成の人はあまり意見を言わないんだよ。それが問題なんだけどね。
意見を読む限り、反対してる人のほとんどが北区住民(神戸北町、日の峰、大池、唐櫃あたり)ぽい。あと、資料を読み込んでない。アホな意見を書けば書くほど、その集団は無視されるんだよ。
行政にお願いしたいのは、変な小手先の制度(高齢者の居場所の確保とかなんとか)なんて作らなくていい(税金の無駄)から、
①敬⽼優待乗⾞証のバス近郊区における110円上限を廃⽌
②敬⽼無料乗⾞券の廃⽌
③⺟⼦世帯はひとり親世帯の⾼校⽣に対する通学定期券の補助へ制度転換
を貫いて下さい。