特定派遣業の届出をして、社員を派遣している会社が多くあった。
特定派遣業とは常用派遣(自分の会社で雇用している社員を派遣する)であり、もし、派遣先との契約が切れても自社に戻ってくるので、給料を支払い続けるものであった。
派遣される人にとっては、突然給料がゼロになることもなく、安心であった。
そのため、特定派遣業の届出は、1日で受理してもらえて、要件もほとんどなかった。
一方、一般派遣業とは登録派遣であり、派遣先と派遣元との契約が切れると、その人は最悪、仕事も給料もなくなる。
そのため、一般派遣業は許可制で、要件も厳しくなっていた。
2015年(平成27年)まではこの2種類があったのだが、改正派遣法により特定派遣業が廃止され、一般派遣業に統一された。
そこで、「派遣業」の許可申請をするためには、3つの新しい要件が加えられた。
1.「資産-負債」(以下「基準資産額」)が、2000万円×「派遣業を行う事業所の数」以上であること。
2.基準資産額が、負債の総額の1/7以上であること。
3.自己名義の現金・預金の額が、1500万円×「派遣業を行う事業所の数」以上であること。
2.はそれほど厳しくない要件。
3.も許可申請するときに、売掛金を一時期だけ銀行で割り引けばクリアできる要件。
最もクリアするのが面倒なものが、1.である。
社長の手元に2000万円があれば、それを資本金として増資する、もしくは、既に特定派遣を行っているとすれば、現在の資本金があるので、そこに追加するということでクリアできる。
でも、現在の特定派遣の会社が債務超過になっていると、2000万円以上のお金が必要となり、クリアするのが難しい。
だから、廃業する、という会社も多い。
どうしても存続したい場合は、会社分割することになる。めんどくさいけど。
会社分割は、元の会社から引き継ぐ資産と負債を選べる。
もちろん、事業分割が前提なので、資産は自由に選べないが、負債は債権者の同意があればかなり自由に選択できる。
つまり、現在の特定派遣の会社が債務超過であっても、会社分割して負債がない新会社を設立することで、会社の基準資産額を2000万円にすることが出来る。
社員の移籍手続き、社会保険の手続き、元の会社とは別に独立した新会社のスペースや施設が必要なこと等、いろいろとクリアすべき課題は多いが、これで事業を継続できる。
派遣業許可を申請するときに、会社分割して基準資産額を2000万円以上にする
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執筆者:osakanamanbow