北神急行線が値下げしたら、神戸電鉄は死なないの? →もう十分に死んでいる
そもそも北神急行線は今の運賃でも十分に谷上から三宮へ向かう客を神戸電鉄から奪い尽くしているので、神戸電鉄はもう既に死んでいる。
おまけに神戸電鉄はその他に、
・神姫バス 三宮~三田線特急バス
・神戸市バス64系統 三宮~神戸北町線
・阪急バス・神姫バス共同運行 三宮~有馬温泉線
にもこの路線の客を奪い尽くされ尽くしているので、今回のことは痛手にならない……というか既に大きな痛手を受け尽くしている。(北神急行も手痛いダメージを受けている)
むしろ、谷上から鉄道利用が安価になれば、バス利用客が最寄駅から谷上経由での鉄道利用に移動してプラスになる可能性もある。
阪急阪神HDは(既に300億近く融資を注ぎ込んでいる)北神急行を手放して得するの? →得する
阪急電鉄は今のままだと、あと4年ほど、2022年には北神急行の負債650億円程度を特別損失で計上しなければならない。
北神急行は経営難(建設費用の利子返済が重い)のため、親会社の神戸電鉄では支えきれなくなり、1992年度から阪急電鉄が支援を開始。
2002年4月1日に鉄道施設を神戸高速鉄道(現在は阪急阪神HDの傘下)に譲渡している。この時、兵庫県(50億円)、神戸市(50億円)、阪急電鉄(205億円)があわせて305億円の融資を行った。
2007年9月には北神急行の親会社の神戸電鉄の経営が悪化したことから、北神急行に阪急電鉄が100億円の追加融資を行った。
なお、神戸高速鉄道が20年間保有した後、残資産と残債務はすべて阪急電鉄が引き継ぐことになっている。
さすがにそれは痛いので、そうなくなる状況であれば諸手を挙げて賛成するはず。
北神急行電鉄は簿価で資産400億円、負債650億円で、250億円の債務超過。
今回は、神戸市が400億円の資産を半額の約200億円で買い取り、650億円の債務は引き継がない。譲渡後の北神急行電鉄に関するバランスシートは、資産200億円/負債650億円となり、純負債は450億円となる。
本来なら、債務超過の会社の資産は引き取り手がなくゼロ判定なので、2022年には純粋に650億円の債務だけが残るはずだった、それが2/3の450億円まで減少するのは、阪急にとっても得な話のようだ。
運賃が下がるってホント? →局所的に見たら下がらないかも
一番の問題は新神戸で2社が分離していること。実は新神戸~谷上の初乗り運賃が360円なのは高いけれど、そこがネックなのではない。三宮までで2社分の料金になってしまうのが問題。本来の乗客流動は三宮~谷上(で、そこからバスとか神鉄とか)だから、それで考えないとダメ。
三宮~谷上の現在の運賃は540円で超高い。市営地下鉄210円+北神急行360円=570円から乗継割引で540円。これを単純に市営地下鉄の料金に当てはめると、三宮~谷上は8.8kmだから3区270円になる。
北神線内加算運賃を50円加算と設定しても320円になり、現行の初乗り360円よりも安くなる。三宮~板宿が270円、三宮~名谷が310円だから、これならば比較対象にもなろう。
(加算運賃は例えば京阪鴨東線の三条~出町柳で60円、南海空港線で120~220円、JR関西空港線で150~210円だから、この金額は空想的ではない。)
補助適用前の本来の初乗りは450円なので、加算運賃を足して三宮~谷上を400円に設定するくらいまではやるかもしれない。
ただ、記者会見を見るに「本気で北神急行を市営化する」ぽいので、加算運賃は50円を下回るのではないかと勝手に予想している。
(後日追記)加算運賃は建設時にしか加算できないようなので、今回は特定加算運賃は設定しないようだ。